妊娠出産歴
自然流産、中絶、帝王切開、異所性妊娠などの情報も重要です。
月経について
●月経歴:初経、閉経の年齢など
●最終月経:特に、一番最近の月経開始日が重要です。
不明な場合は、だいたいこの日くらいから始まったかも、、、など、目安でかまいません。
直近の月経開始日は最低限必要な情報ですので、なんとか記憶やメモなどをたよりに伝えていただけると助かります。婦人科では受診のたびに問診される項目です。
月経量
出血量が多いか少ないか、教えてください。
多いのか少ないのか、わからないという方は、一つの目安として、貧血(症状や検査値)がある、月経血が血の塊としてごろっとでてきたなどがあれば、月経血が多い状態(過多月経)の状態です。
月経周期(=サイクル)
-
前の月経がはじまった日から、今回の月経がはじまった日までの間隔(=サイクル)のことです。
-
月経サイクルはだいたい月に一回くらい(30日くらい)が標準的です。
-
ここ1~2年での①大体の平均の周期、②一番短い周期③一番長い周期を、教えてください。
-
月経周期のずれは1週間前後であれば、正常範囲内と思っていただいて大丈夫です。
-
例えばいつも28日周期で月経がある人は、21日周期~35日周期の範囲内に収まっていれば、サイクルは正常範囲内で整っていると考えていただいて大丈夫です。
-
数か月くらいの月経開始日がわかっていれば理想ですが、最近はアプリなどにご自身で入力している場合もありますね。
-
月経周期が体質によってかわることもあります。
-
例えば、『昔はツキイチだったけど、半年前にダイエットしてからは2か月こないこともあったんだよね、、、』など、のように、もし以前のサイクルと今のサイクルで、変化があれば教えてください。月経周期の変化の前後でプライベートでも何か変化したエピソードがあれば、些細なことでも構いませんので、お報せください。
-
一見関係のないような症状でも、婦人科の月経周期・ホルモン変化に連動している場合が多々あります。お困りの症状が、ご自身のどのようなホルモン状態のときに起こっているのか判断しますので、症状とあわせてお伝えください。
月経痛の程度や対処法
月経痛があるかどうかは、婦人科の診察をする上で大変重要な情報になります。
特に
-
その月経痛は鎮痛剤がきくかどうか
-
以前と比べて痛みが強くなっているか
-
ご自身ではどんな対処法をしているか(どんな薬をつかっているか、学校や職場を休んでいたりしていないか)
がお伺いしたい情報です。
婦人科の病気がかくれているのかどうか、診察で確認していきます。
性交渉(=セックス)関連のこと
●性交渉を持った日
ここ1か月の性交渉を持った日を教えてください。
不正出血や腹痛、異常妊娠の診断の時に必須になる場合があります。
もし日付を忘れてしまった、メモをしていないどあれば、相手に確認できる状況であれば、事前に確認してから来院してください、
※特に異常妊娠の診断や妊娠週数判断の上で、大変に重要な情報になります。
●性交渉時の状況
-
『性交渉のときに痛みがある』『性交渉のたびに出血する』『性交渉のときのおりもののにおいをパートナーに指摘された』などあれば、教えてください。
-
『パートナー(彼氏)が変わった』、『複数のパートナーと性的関係がある』など、性交渉にかかわるエピソードもあれば教えてください。
-
『性産業(デリヘルや風俗など)に従事している』なども重要な情報です。
Webでの入力や用紙への記載に抵抗ある方は、来院してからで構いませんので、医師に直接お話しください。
クリニックで預かる情報は守秘義務という法律上、外部にもれることはありませんが、ご本人が無理のない、お話しできる範囲で構いません。
同意のない性交渉(レイプ)のあったときも、ご相談ください。
既往歴について
-
持病をお持ちの方はお伝えください。
-
薬を内服中の方はお薬手帳の内容を事前に問診サイトに入力していただけると診察がスムーズです。お薬手帳もあれば、持参してください。
-
いまは治っていても、治療歴や手術歴があれば、そちらも大変重要な情報になりますので、できるだけ正確に入力ください。
-
体重が増減したエピソードがあれば、何歳の時に、どれくらいの期間で何キロの増減(痩せ・または太り)があったかも記載ください。
家族歴について
家族、とくに直系の親等(両親や子供、祖父母)の持病や治療があればおつたえください。
婦人科で大切になってくるのは、
-
子宮体癌・卵巣癌・大腸がん・乳癌に直系の家族で代々発症している方
-
血栓症(脳梗塞、心筋梗塞、深部動静脈血栓症)がでやすい家系である方
-
糖尿病や高血圧のでやすい家系である方
-
両親の体格
等です。
問診情報はクリニック内のみで共有します。
本人以外に本人の情報を伝えることは致しません。
●医療者には法律で定められた守秘義務があります。
たとえご家族やパートナーであっても、ご本人の同意なくご本人以外の方に情報をお伝えすることはありませんので、安心してお話しください。
●妊活中の方に多いご要望ですが、特にこれはパートナーに秘密にしてほしいなどの交際歴や妊娠歴・出産歴・既往歴などは、念のためご本人から診察時にお伝えください。
妊活中の場合は、男性の精液所見の説明は、1階内科の男性医師から説明があります。
ご夫婦で同時に一階の内科で精液検査の説明を聞くシチュエーションの際に、『パートナーにも秘密にしたい』というご希望のもれがないよう、留意いたします。
妊娠検査
妊娠するとhCG(human chorionic gonadotropin;ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンが分泌されます。
妊娠しているかどうか調べるのが尿検査(定性検査)、妊娠中のホルモンがどれだけ出ているのか状態を調べたり経過をみたりするために、具体的な数値で調べるのが血液検査(定量検査)です。
尿hCG検査(採尿)
尿hCG検査には2種類あります。
●通常はhCGが25IU/L以上)であるかどうか、つまり妊娠しているかどうか調べる試薬を使用します。
・妊娠検査 1,320円(税込み)
●しかし子宮外妊娠などの異所性妊娠や流産など、妊娠の経過が悪そうな時は、詳細なhCG・W検査を行います。hCG値が25IU/L以上であれば、1本線が出現し、hCG値が1000IU/L以上であれば、2本線が出現します。つまり、hCG値を2領域で検出するキットです。
・妊娠検査 2段階 1,650円(税込み)
血中hCG検査(採血検査)
hCGホルモンは妊娠週数が進むにつれ、値も増えていきます。
正確な数値が計測できるので、異所性妊娠や流産などの診断に大変有用です。
しかし、体外受精を扱うクリニックや大学病院・総合病院以外ではほぼ外注検査にしていることが多く、その場合はその日に採血をしても結果がでるのが数日後になってしまうというデメリットがあります。
内診(内診察)
婦人科では基本の検査ですが、初めての受診の方は、いや初めてでなくても、やはり女性にとってはデリケートな検査です。
女性への配慮を欠かさず、お声かけしながら診察します。
内診前後の手順
1:下半身の脱衣をする
-
ズボン、腰履きタイプのタイツ・ストッキング、下着(パンツ)を脱ぎます。
-
スカートやワンピースは脱ぐ必要ありませんが、内診台に座るときは腰の上までまくり上げてください。
-
後ろ側(お尻側)に洋服がかかっているときは、診察の椅子に巻き込む可能性があるのと、消毒液や粘液で洋服が汚れる可能性があります。
-
靴下は履いたままでOkです。
2:内診台に座る
『内診台』と呼ばれる椅子で行います。
まずはパンツを脱いだままで、普通にすわってください。
お腹にかけていただくタオルがありますので、外陰部に接しないようにしてお使いください。
3:内診台が上がり、寝た状態での開脚姿勢になる
座って用意ができたら、お声かけください。
椅子は自動で上昇し、仰向けの姿勢になったあと、両足がゆっくり開きます。
力をぬいて、機械に体をまかせるようにしてください。
足の手術、股関節の手術、腰をいためているなど、姿勢に無理のありそうな方は、診察室で申し出てください。
その場合は自動で上昇したり動かしたりするのではなく、ご本人の様子をみながら負担のないように、ゆっくりと調整できるように姿勢をとっていきます。
4:医師による内診
5:内診後
内診が終了したら、開始時とは逆の順番でいすがうごきます。
足の閉脚→寝た状態から座った姿勢になる→ゆっくりと下降する、の順番です。
椅子が完全に止まるまで、リラックスしたままの状態でうごかないでください。
内診台をおりたら、ゆっくりと着衣して、用意ができたら内診室から退出します。
痛みや緊張、処置の刺激で、内診後は気分がわるくなったり、迷走神経反射といって体に力が入らなくて立てなくなったり気分が悪くなる方が時々いらっしゃいます。
診察台からいきなり立ち上がらずに、気分が大丈夫なことを確認してから立ち上がりましょう。
気分がすぐれないときは、すぐに医師やスタッフに伝えてください。
内診の内容
1:視診
外陰部を目でみて、異常がないか確認します。
2:腟鏡診
-
腟鏡を使用しての視診です。
-
腟鏡(クスコ―ともいいます)という金属製の筒状のものを、最初は閉じた状態で腟内にゆっくり挿入します。
-
ある程度挿入後、徐々に筒を開いていき、腟の奥にある子宮腟部(子宮の出口)を観察し、できものやおりものの性状を観察します。
-
観察するだけでなく、そのまま培養検査や細胞診・組織診にすすむこともあります。
3:双合診
内診とは、正確には婦人科医の骨盤内臓器の触診をするこちらの双合診を指します。
医師は片方の手の人指し指は腟内に挿入、もう片方の手は腹壁を触れて、子宮や卵巣、ダグラス窩などの骨盤内を診察する触診になります。
通常の健康診断などの内診ではこちらの検査をおこなっています。
手で触れる感覚なので、子宮の内部に発生する腫瘤は触れられないですし、手術や婦人科の病気で腹腔内が癒着している場合は、骨盤内臓器が一塊になって触れるので、個々の正確な大きさを判定するのは不向きです。
しかし、外方に突出している腫瘤や、癒着や痛みの程度を感覚としてとらえるには必須の検査になります。癒着や痛みの程度は、画像検査でははかれないことも多いからです。
4:その他
広義の意味で、経腟超音波検査や細胞診、その他の婦人科で扱う、いわゆる腟内にアクセスするすべての検査を一括して、内診と呼ぶことがあります。
性交渉が未経験の方は、内診は必須ではありません。
無理に内診をすると、それだけで気分が悪くなってしまう方もいます。
代わりの検査として、直腸診や、腹部超音波検査、場合によってはMRI検査を検討します。
内診をスムーズに受ける際のポイント
●リラックスする。これにつきます。
緊張して力をいれてしまうと腟やお腹が固くなるため、余計に痛くなってしまいます。
深呼吸してリラックスした状態で診察を受けていただければと思います。
●リラックス方法1
リラックスといってもつい力が入る、、という方は多いと思います。
おすすめは、以下をこころがけることです。
-
まずおしりをどしんとしっかりつける。
-
ふとももの力をぬく。
-
深呼吸する
●リラックス方法2
それでも緊張してしまう気持ちはあると思います。
『空高く飛んでいった風船を、口をあけてポカンとみあげている』
そんな気持ちで内診台に乗っていただくと、きっと上手に力が抜けて、あっというまに終わっています。
●経腟超音波検査をするときも同じ要領で検査をうけてみましょう。
●当院では欧米式で、ひざかけはかけていただきますが、内診台のカーテンがありません。
その代わりにリラックスできる空間をご用意します。
●診察する女医は、細やかにお声かけし、検査をし画像を一緒にみながらご自身の状態を説明していきます。診察する医師のお顔がみえない、何をされているのかわからないというのも、不安要素になると考えるからです。
超音波検査
経腟超音波検査
●婦人科のメインの検査です。
子宮や卵巣に異常がないかどうかだけでなく、ある程度のホルモン状態もわかります。
●具体的には、腟に指1~2本分くらいの太さの機械の棒(プローベ)を挿入し、骨盤内の画像診断をします。
おなかの上からの腹部超音波でも子宮卵巣が見えないわけではないですが、やはり子宮と卵巣は腟から観察したほうが、プローベからの距離が近い分、より詳細に観察できます。
婦人科では特に内膜病変や卵胞径が、1㎜単位の違いでも診療方針に大きくかかわってくるからです。
●大学病院でも導入しているVolsonP8を使用しています。患者さんも検査中に一緒に画像が見られるように、大画面のモニターも併設しております。
経直腸超音波検査
●性交渉(セックス)が未経験の方は、経腟超音波検査はやはり痛みが強くなります。
子宮と卵巣に腟の次に近いのは、腟・子宮・卵巣の真後ろに位置する直腸です。
つまりおしりの穴からプローベを挿入します。
●違和感はあるとは思いますが、処女膜が破れてしまうような損傷はないですし、毎日お通じがあるわけなので、おしりの穴のほうがするっと挿入できて、腹部超音波よりも正確に、痛みもさほどなく検査がうけられると思います。
●最初に提案されると、だれでも抵抗感はあるとは思いますが、実は肛門からのアプローチは小児科でもよく使用される検査法なので、受けてみると思ったよりほとんど苦痛がないと思います。
経腹超音波検査
●上記の検査はやはり緊張する、、、どうしても勇気がでない、、、という方は、正確性にはかける可能性はありますが、怖い病気や緊急性のある病気がないか、おなかの上から機械をあててみる方法があります。
●当院では経腹超音波検査をする場合は、1階の内科診察まで婦人科医師と一緒に移動していただいて、1階で診察します。
それでもやっぱり、検査開始後に痛みが強かったり、やっぱり気がかわって診察を受けたくないという方もいると思います。その場合はいつでも検査を中止していいですので、まずは気軽に検査を受けてみてください。
培養検査・抗原検査
●おりものや腟内を、綿棒で擦過してその粘液にばい菌がいるかどうかみる検査です。
●細菌検査、クラミジアや淋菌感染症の検査、ヘルペスの検査などにし使用します。
細胞診・組織診
組織診
●細胞のかたまり、つまり組織を採取する検査です。
細胞診で異常が見つかった場合にする、精密検査になります。
●細胞診はこぼれおちた細胞を顕微鏡でみるのに対し、組織診はもっと多くの細胞の塊を顕微鏡でみるわけなので、さらに正確な検査になります。
つまり、病名の診断には組織診をすることで確定診断になります。
●子宮頸部の組織診はコルポスコピー下生検、子宮体部の組織診はシュアサンプルなどの、子宮内容物を吸引で吸い上げたり、キューレットという先端に数ミリの小さいスプーンのようなものがついている金属製の細い棒で、子宮内膜の組織を採取します。
また子宮頚管という、子宮の出口のつつになった場所の組織をキューレットで採取する子宮頚管組織診もあります。
採血検査
採血をして、体の不調や原因をしらべます。
以下は婦人科でよくチェックされる検査です。
●ヘモグロビン値などの血算
血球を計測して、貧血になってないか、炎症がないかどうかを調べる
●生化学検査
薬の副作用が肝臓や腎臓などにたまってきていなかどうかみたり、基礎疾患や生活習慣病がないかどうかを調べる。
また炎症所見がないかどうか調べる。
●腫瘍マーカー(CA125、CA19-9、CEAなど)
悪いもの、癌であることを診断する材料以外だけでなく、子宮内膜症の病勢を診断することにも使います。
●風疹、クラミジア、梅毒などの抗体価検査
すでに病気にかかったことがあるかどうか、妊娠をするのに十分な抗体があるかどうか、薬が効いていていつ頃治療を終わりにできるかどうか、判断するために検査します。
※目的によって自費になります。自治体で検査できる場合もあります。
●ホルモン検査
LH、FSH,エストロゲン、プロゲステロンなど。
現在のホルモン状態を判断します。