top of page
月経異常とは
月経異常とは

生理のお悩みは人によって様々ですが、その中には慎重な経過観察や治療が必要なものがあり、月経異常として分類します。

月経異常の分類

早発月経〈初経の時期が早い〉

生理が10歳にならないうちに来てしまった。

早発閉経〈閉経が早い〉

生理が43歳になる前に、来なくなった。

過少月経〈経血が少ない〉

生理の血が少ししか出ない。

過短月経〈生理が短い〉

生理の出血が出ている期間は2日以内と短い。

無月経〈生理がこない〉

3か月以上生理がこない

稀発月経〈生理がたまにしかこない〉

いつも2~3か月に1回しか生理がこない。

月経前症候群

月経前にあらわれる不調。

遅発月経〈初経の時期が遅い〉

生理が15歳になっても来ない。

遅発閉経〈閉経が遅い〉

生理が55歳を超えてもまだ来てしまう。

過多月経〈経血が多い〉

ナプキンを30分に1回ほどのペースで交換しないと間に合わない。レバーのような血の塊が出る。

過長月経〈生理が長い〉

生理が8日以上長く続く。

頻発月経〈生理が頻繁にくる〉

いつも月に2回以上生理がくる。

24日より短いサイクルで出血している。

月経困難症

月経中にあわられる不調。

AdobeStock_263710991_edited_edited.jpg
月経異常の分類
生理が初めて来る時期(初経)についてのお悩み

初経の異常には、早発月経と遅発月経の2つのタイプがあります。

この場合、中枢神経系や内分泌系の疾患があったり、染色体の異常がある場合があります。

検査や診断に専門医を受診することが必要になったり、様々な科でフォローが必要になることがあります。

生理が初めて来る時期(初経)についてのお悩み

早発月経

生理が10歳にならないうちに来てしまった

早発月経

遅発月経

生理が15歳になっても来ない

遅発月経
閉経の時期についてのお悩み

日本人の閉経年齢は平均50歳です。

45歳~55歳くらいで閉経になるのが一般的です。

閉経の時期についてのお悩み

早発閉経

早発閉経の起こる頻度は、30歳までは1,000人に1人、40歳までで100人に1人ほどです。

原因は、自己免疫性疾患や、もともとの体質、また卵巣の手術や化学療法・放射線療法などの治療によるものです。

妊娠を希望する場合は、専門的な不妊治療が必要です。

妊娠を希望しなくても、閉経後に陥りやすいメタボリック症候群や骨粗しょう症にならないよう、婦人科で女性ホルモンの補充療法を行い、健康寿命の延長をめざします。しかし乳癌や子宮体癌の方など、女性ホルモンが使用できない方もいるので、まずは婦人科を受診して相談しましょう。

早発閉経

遅発閉経

本当に月経なのか、月経ではなく実は不正出血なのか、鑑別が必要です。

不正出血だったという場合は、癌、特に閉経以降に増える子宮体癌について考える必要があります。

遅発閉経
月経量のお悩み

[経血の量の正常範囲]

一般的に20ml~140mlが正常だと言われています。

 

[月経持続期間の正常範囲]

月経持続期間(生理の出血が出ている期間)は、3日~7日が正常だと言われています。

月経量のお悩み

過短月経・過少月経(経血量20ml以下)

月経量や月経期間が異常に少ない場合、例えば下着に少し出血が付着する程度のものが数日だけ続くなどの時は、過少月経・過短月経が考えられます。

その場合は、実際は排卵が起こっていないのに出血している排卵障害や、黄体機能不全が考えられます。治療方針はその方のライフステージによって異なってきますので、婦人科医に相談ください。

過短月経・過少月経(経血量20ml以下)

過長月経(月経期間8日以上)・過多月経(経血量140ml以上)・過多月経による貧血

子宮筋腫、子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープ、子宮内膜増殖症、子宮体癌などの婦人科疾患がある可能性があります。これらは月経が来るたびに悪化する傾向があるので、最近は症状が悪化しているなと気付いた時点で、早めに婦人科受診をしてください。

貧血について

出血が多かったり期間が長かったりすると、貧血になります。毎月月経が来るたびごとに、徐々に貧血が悪化し慢性貧血になります。急に貧血になる場合は、たちくらみや息切れ疲れやすさは自覚しやすいですが、慢性貧血の場合は徐々に貧血になるので、その状態に自分の体も慣れていってしまい、自覚症状を感じにくいことが特徴です。会社の検診などで、重度の貧血を指摘され、気付くこともあります。

貧血の自覚症状がなくても、ナプキンを30分に1回ほどのペースで交換しないと間に合わない場合、レバーのような血の塊がでる場合、夜に何回も起きてナプキンを変えないとシーツを汚してしまう場合、1週間以上月経が長引く場合などがあれば、すぐに婦人科に相談にいきましょう。

過長月経(月経期間8日以上)・過多月経(経血量140ml以上)・過多月経による貧血
月経周期(月経サイクル)のお悩み

だいたいで考えて、月に1回生理がきていれば周期は正常です。

つまり平均の周期が25日~38日サイクルであれば、月経不順はないと考えます。

毎周期ぴったり同じサイクルで排卵する方は少ないです。7日間前後の周期のずれは月経不順とは考えなくて大丈夫です。例えばいつも平均30日サイクルで月経が来る方は、23日~37日サイクルであれば、多少周期がずれても不順ではないとみなします。

AdobeStock_137428313_edited.jpg
月経周期(月経サイクル)のお悩み

頻発月経

  • いつも月に2回以上生理がくる

  • 24日より短いサイクルで出血している

不正出血と区別ができないことがあります。

排卵障害が原因のことが多いですが、稀ですが子宮癌が隠れていて、月経ではなく不正出血という症状の場合もあります。

また異常妊娠による不正出血や子宮内膜に病変のある婦人科疾患が原因のこともあります。早めに婦人科受診しましょう。

頻発月経

無月経・稀発月経

  • 3か月以上生理がこない

  • いつも2~3か月に1回しか生理がこない

  • いつも39日以上3ヶ月未満のサイクルでしか出血しない

無月経・稀発月経

女性のホルモンは脳と卵巣が連動して働いているので、ストレスや精神的なものも影響しますが、まずは妊娠反応をチェックしましょう。

ご自宅で採尿し妊娠検査薬で検査してみましょう。

妊娠反応が陰性の場合は、婦人科を受診して、多嚢胞性卵巣や内分泌異常がないか原因検索をします。

ダイエットなどで体重が増減したり、部活でスポーツに打ち込んでいたりしても稀発月経や無月経になります。

月経が3か月以上こないときは、ホルモン剤を使用したほうがいい場合がありますので、婦人科受診をしましょう。月経を起こさせない状態が長期間続くと、将来的に子宮体癌のリスクが上がる可能性があるからです。

月経がこない状態をほおっておくと、体質として定着してしまい、将来妊娠しづらい体に陥ってしまうことがあります。自分のライフプランにあわせてフォローしてもらいましょう。

月経症状の異常
月経症状の異常

月経前症候群(PMS;Premenstrual syndrome)《月経前にあらわれる》

PMSとは

生理(月経)の3~10日位前になると起こる不調です。月経が来ると症状が弱まり、やがて消えていくのが特徴です。

原因には様々な説がありますが、黄体期におこるため、黄体ホルモンが原因という説もあります。

症状は多彩で、身体的・精神的なもの両方があり、人によって、また月によって重症度も様々です。日常生活に支障をきたすものはもちろん治療の対象になりますので、『だれしもある症状なのでがまんしなくては、、、、』という考えは危険です。

 

症状

症状の種類は200種類以上もあるといわれています。

毎月同じ症状に悩まされる方が大半ですが、毎月ではないけど定期的に悩まされる方がいたりと、症状の程度や出方もまちまちです。10人の女性がいたら、それぞれ悩みも異なります。

よこすか内科小児科・はるこレディースクリニック
月経前症候群(PMS)《月経前にあらわれる》

「こころ」の症状

  • 抑うつ状態(気分が落ち込む)

  • 感情の起伏が激しくなる

  • イライラ

  • 抑えがたい怒り・衝動感

  • 不安が高まる

  • 緊張が高まる

  • 涙もろくなる

  • 意欲や集中力が低下する

  • 人に会いたくなくなってひきこもる

  • 不眠・過眠 など

「からだ」の症状

  • 頭痛、片頭痛

  • 手足のむくみ

  • 乳房の張り・痛み

  • お腹の張り・膨満感

  • 下腹部の痛み

  • 腰痛

  • ほてり

  • 便秘、下痢

  • 疲労感・だるさ

  • 肌荒れ

  • 食欲が高まる

  • 甘いものが異常に欲しくなる

  • 関節痛・筋肉痛

  • 体重増加 など

これらの症状のうち、「こころ」の症状がとくに重く、精神の不安定さから人と衝突や摩擦が増えたり、引きこもりがちになって社会活動に支障をおよぼしたりするときは『月経前不快気分障害(PMDD Premenstrual Dysphoric Disorder)』と診断されます。

予防~セルフケア~

まずは自分がどのタイミングでどのような症状が出るのかを把握することが大切です。

PMSの症状記録を残しておくことはPMSと上手に付き合うためにも有効な方法です。

生活習慣や食生活を改善することで、PMSを軽くできることもあります。

まずは規則正しい生活をしましょう。ウォーキングやストレッチなどの適度な有酸素運動や、睡眠時間をしっかりと取ることはストレスの軽減にもつながりますので、PMSに有効です。

[PMSを軽くするために摂るとよい栄養素]

  • カルシウム:牛乳、ヨーグルト、小松菜、じゃこなど

  • マグネシウム:アーモンド、大豆、ゴマなど

  • ビタミンE:かぼちゃ、アボカド、アーモンドなど

  • ビタミンB6:大豆、バナナ、いわしなど

避けたほうがよいこと

  • 塩分のとりすぎ

  • アルコールの摂りすぎ

  • カフェインの摂りすぎ(コーヒー、紅茶、緑茶、栄養ドリンクなど)

  • 喫煙(なるべくなら禁煙を!)

治療

症状により様々で、対症療法することがほとんどです。

様々な症状が出現する方は、まずは漢方薬を試してみるのがいいでしょう。

体質改善効果もあるため、最低数か月は内服することをおすすめします。

むくみや乳房の張りがある場合は利尿薬、痛みがある場合は鎮痛剤を使用したりして、症状にあわせて薬を併用することも多いです。

それでも効果がいまいちな場合は、ピルの内服がおすすめです。

しかし内服できない体質の方がいたり、副作用もあるので注意が必要です。

PMDDの方は、他の疾患を除外するためにも、一度精神科を受診されたほうがいい場合もあります。死にたい気持ちなど出てくる方は、精神科領域のお薬を使用したほうがいい場合があります。

月経困難症《月経中にあらわれる》

主に下腹部痛、腰痛、頭痛、吐き気などが見られ、寝込んだり動けなくなったりと、日常生活に支障をきたします。

月経困難症《月経中にあらわれる》

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは

PCOSの症状には、月経異常、不妊症だけでなく、男性化や肥満など、多彩な症状が見られます。

(1)月経周期が35日以上

(2)月経が不規則、もしくは無月経

(3)不妊症

(4)にきびが多い

(5)やや毛深い

(6)肥満

 

多嚢胞性卵巣は、両方の卵巣にたくさん卵子がありすぎて、うまく一つの卵子が排卵できないために排卵障害をきたす病気です。排卵がないので、(1)、(2)、(3)の症状がおこります。

その状態は、脳から出ているLH(黄体化ホルモン)と血糖値を下げるインスリンというホルモンが正常より強く卵巣に作用する状態にします。そのような状況下は、男性ホルモンを局所的に多く作り出してしまい、(4)や(5)のような症状が出現します。また、インスリン抵抗性になると(6)のような症状も出現します。

そして男性ホルモンが高い状態は、さらに卵巣の状態を悪化させます。

通常は卵巣の表面はふわふわで柔らかいので卵子は卵巣を突き破って飛びだし排卵することができます。

しかし男性ホルモンが過剰に分泌される環境が長くつづけばつづくほど、卵巣は表面が硬くなり、カチカチになります。すると卵子は卵巣の表面を突き破れなくなり、せっかく卵子が発育しても物理的に排卵できなくなるのです。将来的に妊娠したくなったときに、妊活の治療でおくすりで排卵させようとしても、すでに卵巣の表面が硬くなっている方は排卵ができないため、排卵できるように卵巣にたくさんの穴をあける手術が必要になるのです。

 

PCOSと診断された時点で、将来妊娠できるからだ作り(=プレコンセプション・ケア)として、卵巣の表面がこれ以上硬くなって排卵しづらくなるのを予防するために、ピルの内服などをして早期に治療を開始したほうが得策なのです。

 

検査

経腟超音波検査、採血検査によって診断します。

治療

PCOSの排卵障害は年齢とともに進む傾向にありますが、体質で年齢を経ると自然になおってしまう方もいます。全ての特徴を持っている人もいれば、超音波所見だけ異常の人もいて重症度はさまざまです。

その方の病態や重症度、これからのライフプランをもとに、オーダーメイドの治療が必要です。

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)

骨粗しょう症の予防・早期発見・治療

若い時に月経がこない期間が長かった場合は、骨密度が低下している場合があるので、骨粗しょう症がないか早期にチェックします。合わせて生活習慣の中で骨粗しょう症の予防に努めます。

閉経前後ではかならず1年ごとに定期的に検査をし、骨減少症や骨粗しょう症がみつかれば、治療介入していきます。

高プロラクチン血症

高プロラクチン血症とは

プロラクチンと呼ばれるホルモンが血液中で異常な高値を示す病気です。プロラクチンは本来は出産後の母乳を分泌させるホルモンです。しかし出産とは関係ないタイミングで、血液中で異常な高値になることがあり、この状態を高プロラクチン血症とよびます。

 

原因

脳の腫瘍によるもの、脳のホルモンバランスが崩れる機能性のもの、睡眠薬・精神安定剤・胃薬などが関係している薬剤性のものが考えられますので、診断により治療法が異なります。また甲状腺機能異常など他の病気が隠れていることもありますので、各科との連携も必要になることがあります。

症状

ホルモンのしくみはデリケートなため、軽度の異常でも月経不順や不妊症をひきおこします。出産後ではないのに、乳汁分泌が分泌されることも多いです。腫瘍が原因のものは、腫瘍が大きくなると下垂体頭痛や吐き気、目の見えにくさなどの症状が引き起こされることもあります。

しかし測定上の問題でプロラクチンが高く出る場合もあり、その場合は真の意味での病気ではありませんので、無症状です。

 

診断

  • 問診:下垂体圧迫症状の確認、内服薬の確認、月経の確認など。

  • 採血検査:プロラクチン採血、LH,FSH、E2の基礎ホルモン値検査、甲状腺検査

  • その他胸部疾患、肝臓、腎臓などの疾患がかくれていることがあるので、必要に応じて検査をします。

  • 脳MRI検査:下垂体性腫瘍などの検索

治療

[下垂体性の腫瘍や脳の構造物がの場合]

ごく小さなものであれば内服薬によって完治する場合もあるため、月経不順で受診した婦人科やかかりつけの内科で治療することもあります。薬物療法にはパーロデル(ブロモクリプチン)、テルロン(テルグリド)、カバサール(カベルゴリン)があります。

しかしある程度大きな腫瘍や薬物治療に抵抗性のものは、すぐに脳外科の専門外来を受診・精査し、手術や放射線治療なども検討していきます。

 

[機能性のものが原因で、不妊症がある場合]

婦人科で薬物療法をしながら不妊治療を開始し妊娠を目指します。内服薬は週に一回の内服で済み効果が緩やかなカバサールを内服することが多いです。妊娠反応が陽性になったら、内服は中止します。

内服している薬が原因の場合は、当然薬をやめると治りますが、胃潰瘍や精神疾患など、薬の内服をやめると日常生活に支障がでる場合が多いため、どちらを優先するかはかかりつけ医の判断になります。多くは胃潰瘍や精神疾患の治療を優先させます。

閉経後は自然にPRL値が正常化することもあるので、薬を中止して様子をみることがあります。

測定上の問題で何も病気がなくても高くなることがあるので、症状を伴っていなければ治療はしません。

高プロラクチン血症
bottom of page